『どうぞ』
茶を丁寧に置く先生の綺麗な手と、控えめなほほえみが浮かぶ。ふんわりとした甘い茶の匂いと焼きたての菓子の香ばしさが風に乗って。あの人は言わねえが作ってくれたんだって判る。
俺は飯の食い方も茶の淹れ方も、日常における貴族の所作は地位の高い貴族に気に入られるために覚えた。
けど、先生は違う。
先生は生徒を楽しませるために覚えたんだ。俺の淹れる茶なんかよりずっと美味かった。当たり前だ。そんなの美味いに決まってる。なんだか無性に飲みたくなってきた。また近いうちに誘ってくれねえかな。
「ユーリス、菓子を」
「はい」
maki你是……恶魔……