「……いや、でも実は、こんな風になるのは、……あまり慣れてないんだ」
「恋人がいたことはないって、言ってたもんな」
「ああ。……それに、傭兵時代野営していた時、仲間が横の茂みで女性を買って、見張り当番の間中その声を聴く羽目になったことがあって」
「うえ……前に言ってたの、それかよ」
ユーリスは、焚火の横で無表情な傭兵時代のベレトが、仲間の喘ぎ声を聞きながら黙って見張り番をしている様子を想像して気の毒になった。自分の剣の手入れでもしながら、どんな気持ちで朝を待ったのやら。
「ジェラルトも『お前にゃまだ早い』と言って、そういう話はしてくれなかったし……つまり、俺はそういう知識がその、あまり、ないんだ」
好好笑